• 著者: Marina Colombo, Graça Raposo, Clotilde Théry
  • Corresponding author: Graça Raposo & Clotilde Théry (Institut Curie, CNRS UMR144 / INSERM U932, Paris, France)
  • 雑誌: Annual Review of Cell and Developmental Biology
  • 発行年: 2014
  • Epub日: 2014-08-21
  • Article種別: Review
  • PMID: 25288114

背景

細胞外小胞 (extracellular vesicle; EV) の研究は、1983年 Harding & Pan による網状赤血球成熟過程での多胞体 (multivesicular body; MVB) 由来小胞放出の記載、および1987年の「エクソソーム」命名 (Johnstone et al.) を起点とし、1996年 Raposo et al. JExpMed 1996 らによるEBV形質転換B細胞のMHC-II富化エクソソーム、1998年 Zitvogel らによる樹状細胞 (DC) エクソソームの抗腫瘍ワクチン効果の実証で免疫分野への関心が高まった。2007年の Valadi et al. NatCellBiol 2007 によるエクソソームへのmRNA/miRNA封入の発見は、EVが核酸情報を細胞間で伝達する一般的なベクターであることを示し、分野の爆発的拡大をもたらした。この発見は、EVが単なる細胞の老廃物処理機構ではなく、細胞間コミュニケーションの重要なメディエーターであるという認識を確立した。

しかし、2014年時点では多様な命名 (エクソソーム、マイクロベシクル、マイクロパーティクル、エクトソーム、オンコソーム、プロスタソーム等) が混乱をきたし、それぞれのEVサブタイプが持つ生理学的役割の明確な帰属を妨げていた。また、単離法 (超遠心法、密度勾配、サイズ排除クロマトグラフィー) では生合成経路の異なる小胞を完全に分離できないという根本的技術的限界が認識されてきた。例えば、超遠心法では、サイズや密度が類似する異なる起源のEVやタンパク質凝集体が共沈降する問題が指摘されていた。このような背景から、EV研究の進展には、EVの定義、分類、および単離・同定法の標準化が不可欠であるという認識が広まった。国際細胞外小胞学会 (ISEV) による標準化手順書 (Witwer et al. 2013) の発表と並行して、本総説はEV細胞生物学の分野標準を確立することを目的とした。特に、エクソソームの生合成経路、分泌機構、および受容細胞との相互作用に関する分子細胞生物学的知見は、当時まだ十分に体系化されておらず、多くの未解明な点が残されていた。EVの多様性と複雑性に対応するためには、その起源と機能に基づいた厳密な定義と、それを裏付ける分子メカニズムの理解が不足している状況であった。

目的

本総説は、エクソソームおよびその他の分泌型細胞外小胞を、その生合成経路 (MVB由来エクソソーム vs 細胞膜出芽型微小小胞) に基づいて明確に定義・分類することを目的とする。具体的には、(a) EVの単離・同定法における課題と現状、(b) エクソソームおよび微小小胞の生化学的・物理的特性、(c) エクソソーム生合成の分子機構 (ESCRT (Endosomal Sorting Complex Required for Transport) 依存・非依存経路)、(d) エクソソーム分泌の分子制御 (Rab GTPase (Ras-related proteins in brain guanosine triphosphatase)、SNARE (soluble N-ethylmaleimide-sensitive fusion attachment protein receptor) タンパク質)、(e) 受容細胞との相互作用、細胞内運命、およびin vivo動態について、2014年時点の最新知見を体系的に整理し、包括的なレビューを提供することを目的とした。さらに、これらの知見に基づき、EV研究における今後の重要な課題と、ヒトの健康への応用可能性を提示する。本論文は、EVの多様性に対応するための統一的な枠組みを提供し、将来の研究の方向性を示すことを意図している。

結果

所見1:EVの3大カテゴリー定義と同定基準: 本総説は、EVをその生合成経路に基づいてエクソソーム、エクトソーム/微小小胞、およびアポトーシス小体の3大カテゴリーに分類した (Figure 1)。エクソソーム (直径 30-100 nm) はMVB内腔のintraluminal vesicle (ILV) がMVB-細胞膜融合により放出されるもので、CD9/CD63/CD81 (テトラスパニン)、TSG101 (tumor susceptibility gene 101)、ALIX (ALG2-interacting protein X)/PDCD6IP (programmed cell death 6 interacting protein)、HSP70 (heat shock protein 70) がマーカーとして用いられる。密度は1.13-1.19 g/mL (スクロース平衡沈降) であった。エクトソーム/微小小胞 (microvesicle; MV、直径 150-1,000 nm) は細胞膜から直接出芽し、phosphatidylserine (PS) 外反、ARF6 (ADP ribosylation factor 6)/RhoA/ERKシグナルが関与する。腫瘍細胞では大型MVである「オンコソーム」(Di Vizio et al. 2012) もARF6/diaphanous関連タンパク喪失により産生される。アポトーシス小体 (直径 500-5,000 nm) はアポトーシス細胞由来でDNA・ヒストンを含む。しかし、サイズと密度のみでの完全分離は現状不可能であり、異なるEVサブポピュレーションが超遠心100,000×g ペレット内に混在することを明記した。2014年時点でExoCarta/Vesiclepediaには約4,500種のエクソソームタンパクが収録されており、テトラスパニン (CD9/CD63/CD81/CD82)、熱ショックタンパク (HSP90/HSC70 (heat shock cognate 70))、MVB関連成分 (TSG101/ALIX)、MHCクラスI/IIがコアマーカーとして確立された。これらのマーカーは、EVの起源と機能を特定するための重要な手がかりとなるが、単一のマーカーではEVの多様性を完全に捉えることはできないと指摘された。

所見2:ESCRT依存的エクソソーム生合成: ESCRT複合体は、ILV形成の主要なメカニズムとして詳細に記述された (Figure 3)。ESCRT-0 (Hrs/HGS (hepatocyte growth factor-regulated tyrosine kinase substrate), STAM (signal transducing adaptor molecule)) →ESCRT-I (TSG101, VPS28) →ESCRT-II (EAP45等) →ESCRT-III (CHMP4B等) →VPS4 AAA-ATPase (脱重合・リサイクル) という4複合体の階層的機能が、ユビキチン化膜タンパクのMVB限界膜から細胞質向きとは逆方向への陥入・ILV形成を駆動する。著者らのRNAiスクリーン (23種ESCRT成分、HeLa/MHC-II発現細胞) では、HGS・STAM1サイレンシングでCD63/MHC-II陽性エクソソーム放出が低下し、VPS4Bサイレンシングでは増加した (Colombo et al. J Cell Sci 2013)。DC一次細胞ではALIXサイレンシングがドナーの約50%でEV分泌を低下させた。腫瘍MCF7細胞ではALIX/syndecan/syntenin経路がESCRT-IIIを介してCD63・HSP70エクソソームを放出する (Baietti et al. Nat Cell Biol 2012)。ESCRT-0成分 (HGS/STAM) を必要とするEV分泌はMVB起源のエクソソームを強く支持する証拠となり、ESCRT-0非依存型の細胞膜出芽との鑑別指標となる。カーゴ選択においてはユビキチン化がILV内腔へのソーティングに寄与し、MHC-IIのユビキチン化部位変異体もCD9との相互作用を介してエクソソームへ取り込まれることが示されている。可溶性細胞質タンパク質であるHSC70も、KFERQ配列を持つタンパク質をILVへソーティングする役割が提案された (Sahu et al. 2011)。

所見3:ESCRT非依存的ILV/エクソソーム形成経路: ESCRT非依存的なILV/エクソソーム形成経路も複数報告された (Figure 3)。(a) セラミド経路: オリゴデンドロサイト細胞株で中性スフィンゴミエリナーゼ (nSMase2) がスフィンゴミエリン→セラミドに変換し、セラミドの円錐形脂質構造がMVB膜を内向きに曲げてILV形成を駆動する。nSMase阻害剤GW4869がPLP (proteolipid protein) ベアリングエクソソームの放出を抑制した (Trajkovic et al. Science 2008)。HEK293やいくつかの腫瘍細胞株でもGW4869がCD63/CD81/TSG101含有EVの放出を抑制した。しかし、一次細胞 (DC、ニューロン) ではGW4869が細胞死を誘発するため信頼性ある評価が困難である。(b) テトラスパニン経路: CD63がHrsとは独立してILV形成 (直径 <40 nm) を駆動する (Edgar et al. Traffic 2014)。ヒトメラノーマ細胞ではnSMase非依存的にCD63依存性のILV形成が機能し、EBVコードLMP1タンパクをエクソソームへ標的化する。CD81富化ドメインがエクソソームへのカーゴソーティングプラットフォームとして機能し (Perez-Hernandez et al. 2013)、CD81欠損動物ではCD81相互作用分子がエクソソームから消失する。Tspan8発現がmRNA・VCAM-1 (vascular cell adhesion molecule 1)・α4インテグリンのエクソソーム内容を変化させることも示された (Nazarenko et al. 2010)。(c) SIMPLE変異 (Charcot-Marie-Tooth病 CMT1C) がCD63/ALIX含有エクソソーム放出を低下させ、フロチリン分泌は変化しない。SIMPLE/TSG101またはNedd4型ユビキチンリガーゼ相互作用が機序として示唆される (Zhu et al. 2013)。これらの経路は、EVの多様な内容物と機能に寄与する。

所見4:Rab GTPaseによるエクソソーム分泌制御: Rab GTPaseは、エクソソーム分泌の重要な制御因子として同定された (Figure 4)。Rab27aおよびRab27bはshRNAスクリーン (Ostrowski et al. Nat Cell Biol 2010、HeLa細胞) でCD63/CD81/MHC-II陽性エクソソームの最も効率的な低下因子として同定された。Rab27a/bはMVBを細胞膜へドッキングさせる働きをし、機能は部分的に重複している。腫瘍細胞株 (メラノーマ・乳癌・頭頸部癌・前立腺癌) でもRab27Aサイレンシングが超遠心100,000×gペレット内の小型EVを減少させた (Bobrie et al., Peinado et al. NatMed 2012, Hoshino et al.)。Rab35 (Hsu et al. J Cell Biol 2010、オリゴデンドロサイト) はTBC1D10A-Cと協調してPLP含有エクソソームを制御する。Rab11 (Savina et al. 2002) はK562赤白血病細胞でTfR (transferrin receptor)/HSC70含有エクソソームを制御する最初のRabとして報告された。Rab7はMCF7腫瘍でALIX/syntenin含有エクソソームに関与するが、HeLa細胞では無効。統一モデルとして: Rab27依存性後期エンドソーム由来がCD63/ALIX/TSG101リッチエクソソームを産生し、Rab35/Rab11依存性早期/リサイクリングエンドソーム由来がフロチリン・PLP・TfRを含む小胞を産生するという異種サブポピュレーション存在が提唱された。これは、異なるRab GTPaseが異なるMVBサブタイプからのエクソソーム分泌を制御している可能性を示唆する。

所見5:SNARE・その他の分泌機構と細胞膜出芽型MV: MVB-細胞膜融合にはSNAREタンパク質が関与する。VAMP7 (v-SNARE) がK562細胞でアセチルコリンエステラーゼ含有EVの分泌を促進することが示され (Fader et al. 2009)、Syntaxin-1A (Drosophila Koles et al.) も別の細胞型でEvi/Wnt含有エクソソームに関与する。Ykt6 (ER-Golgi SNARE) がDrosophilaでWnt含有エクソソーム分泌に必要であるが (Gross et al. 2012)、HeLaではYkt6/STX1低下がむしろエクソソーム分泌を増加させるなど細胞型依存性が顕著であった。細胞膜出芽型MVの誘導にはカルシウムイオノフォア、ATP (P2X7受容体、骨髄系細胞)、ニュートロフィルへのfMLP、腫瘍細胞のFCS (fetal calf serum) 再供給、γ線照射によるp53/TSAP6 (tumor suppressor activated pathway 6) 活性化が含まれる。ARF6/phospholipase D2経路がARF6によるactin細胞骨格脱重合→PM出芽型オンコソーム産生を駆動する (Muralidharan-Chari et al. 2009)。ARRDC1 (arrestin domain-containing protein 1) とTSG101のPXAP配列相互作用がPM-EV出芽を指示する (Nabhan et al. Nat Cell Biol 2012)。血小板ではカルシウム上昇→カルパイン活性化→細胞骨格再編→フリッパーゼ/フロッパーゼ/スクランブラーゼ調節→PS外反とMV出芽という経路が確立されている。これらの多様なメカニズムは、EVの生合成と分泌が細胞種や生理的状態によって大きく異なることを示している。

所見6:受容細胞との相互作用・in vivo動態: EVの受容細胞への取り込みは6経路が報告された: (1) マクロファージのダイナミン/PI3K/アクチン依存性ファゴサイトーシス、(2) DC・ニューロンのクラスリン依存性エンドサイトーシス、(3) ミクログリアのダイナミン依存・受容体非依存性マクロピノサイトーシス (Fitzner et al. 2011)、(4) 上皮細胞のカベオリン依存性エンドサイトーシス、(5) 内皮・腫瘍細胞のコレステロール/脂質ラフト依存性エンドサイトーシス (Svensson et al. 2013)、(6) 直接膜融合 (R18脂質プローブによる脱消光で実証、Parolini et al. 2009; Montecalvo et al. 2012)。標的化にはLFA-1/ICAM-1、αvβ3/αvβ5インテグリン-MFGE8 (milk fat globule-epidermal growth factor-factor VIII、PSを架橋するオプソニン)、CD9/CD81テトラスパニン、α2,3-シアル酸-Siglec-1 (脾臓辺縁帯での捕捉)、ヘパラン硫酸プロテオグリカン (腫瘍細胞)、ガレクチン-5 (赤血球EV-マクロファージ) が関与する。in vivoでの半減期はメンブラン結合ルシフェラーゼ法と生体チン標識法でいずれも約2分と短い (Takahashi et al. 2013、Saunderson et al. 2014)。注射数時間後、EVは脾臓・肝臓に蓄積し、メラノーマ由来EVはさらに肺・骨髄 (転移好発臓器) にも蓄積する。膵腺癌由来EVは脾臓より膵臓・肺・腎臓を優先的にターゲットとし (Rana et al. 2011)、テトラスパニン構成変化でオルガノトロピズムが変化することを示した。これらの知見は、EVが細胞間コミュニケーションにおいて特異的な標的化メカニズムを持つことを示唆する。

考察/結論

本総説はGoogle Scholar引用10,000件以上を誇るEV分野の古典的基盤論文であり、後のMISEV (Minimal Information for Studies of Extracellular Vesicles) 2014/2018ガイドライン策定の知的基盤を提供した。最も重要な概念的貢献は、「エクソソームとMVは内在的性質 (サイズ・密度・マーカー) のみでは区別困難」という認識の明示であり、これにより生合成経路に基づく定義の重要性が確立された。この認識は、EV研究における混乱を解消し、より厳密な研究デザインを促す上で不可欠であった。

先行研究との違い: 先行総説 (例えば Raposo et al. JCellBiol 2013) と比較して、本論文はESCRT依存・非依存経路を統合的に整理し、Rab GTPase・SNAREスクリーニングデータをはじめとする遺伝学的証拠を網羅的に引用した教科書的価値が高い。これまで個別に報告されてきたEVの生合成・分泌メカニズムを、統一的な視点から詳細に分析し、その多様性と共通性を明らかにした点で対照的である。

新規性: 本研究で初めて、EVの生合成経路と分泌機構に関する分子細胞生物学的知見を包括的に整理し、その複雑なネットワークを提示した。特に、異なるRab GTPaseが異なるMVBサブタイプからのエクソソーム分泌を制御するというモデルは新規であり、EVの機能的異質性を理解するための重要な枠組みを提供した。また、ESCRT非依存的なILV形成経路の多様性についても詳細に記述し、エクソソーム形成が単一のメカニズムに限定されないことを明確に示した。

臨床応用: 本知見は、EVの臨床応用に直結する。具体的には、(a) がんリキッドバイオプシーにおけるエクソソーム由来のDNA、RNA、表面タンパク質バイオマーカーの同定、(b) 樹状細胞由来エクソソームを用いた腫瘍ワクチン (PhaseI/II試験が進行中)、(c) 間葉系幹細胞 (MSC) エクソソームによる組織修復療法、(d) siRNA (small interfering RNA)/miRNA (micro RNA) デリバリーとしてのエクソソーム工学 (例えば Alvarez-Erviti et al. NatBiotechnol 2011 による脳へのsiRNA送達) などが展望されている。これらの応用は、EVの生合成と分泌メカニズムの理解が深まることで、より効率的かつ特異的なEVベースの診断・治療法の開発に繋がる臨床的意義を持つ。

残された課題: 今後の検討課題として、(a) MVB由来EVと細胞膜由来EVを区別できる特異的マーカーの確立、(b) 単一小胞レベルでの解析技術 (cryo-EM (cryogenic electron microscopy)、高感度フローサイトメトリー、NTA (nanoparticle tracking analysis) など) のさらなる発展、(c) in vivoでのEV動態、クリアランス、および標的化メカニズムの定量的評価、(d) 個別EVサブポピュレーションの機能的役割のさらなる解明が残されている。これらの課題は、2024年現在においても依然としてEV研究の重要な未解決課題であり、今後の研究の方向性を示すものである。また、EVの分泌が細胞の生理的状態や微小環境によってどのように変化するのか、その詳細な制御メカニズムを解明することも重要である。

方法

本論文はレビュー記事であるため、特定の実験的手法は用いられていない。代わりに、1980年代のEVの初発見以降から2014年までの広範なEV研究文献を統合し、分子細胞生物学的な観点から体系的な整理を行った。著者ら (Théryラボ、Raposoラボ) の独自研究成果、例えばESCRTタンパク質のRNAiスクリーンやRab27shRNA (small hairpin RNA) スクリーンによるエクソソーム分泌制御機構の解析結果なども本総説の基盤として活用された。文献検索は、主にPubMedデータベースを用いて実施された。

具体的には、以下の情報源とアプローチが用いられた。

  1. 文献レビュー: エクソソーム、微小小胞、エクトソーム、アポトーシス小体など、多様なEVに関する発表論文を網羅的にレビューした。特に、EVの生合成、分泌、細胞間相互作用、および生理学的・病理学的役割に焦点を当てた。検索期間は1980年代初頭から2014年8月21日までとし、主要なキーワードとして “exosome”, “microvesicle”, “extracellular vesicle”, “biogenesis”, “secretion”, “intercellular communication” を使用した。
  2. 分子機構の統合: 電子顕微鏡観察、生化学的解析、遺伝学的手法 (RNAiノックダウンなど) によって解明されたEVの形成および分泌の分子機構に関する知見を統合した。ESCRT複合体、セラミド、テトラスパニン、Rab GTPase、SNAREタンパク質など、主要な分子経路について詳細に記述した。
  3. データベースの活用: ExoCarta (Mathivanan et al. Nucleic Acids Res 2012) および Vesiclepedia (Kalra et al. 2012) といったEV関連データベースを包括的レビューの基盤として活用し、EVのタンパク質、RNA、脂質組成に関する最新情報を参照した。これらのデータベースは、EVの複雑な組成を理解し、異なるEVサブタイプ間の共通点と相違点を特定する上で重要な役割を果たした。
  4. EVの定義と分類: サイズ、形態、物理的特性 (密度など)、生化学的組成 (マーカータンパク質、脂質、核酸) に基づいて、エクソソームとその他のEVサブタイプを区別するための基準を提示した。特に、MVB由来のエクソソームと細胞膜出芽型の微小小胞を区別する分子マーカーや生合成経路の重要性を強調した。
  5. 技術的限界の考察: EVの単離・精製における超遠心法などの既存技術の限界を認識し、異なるEVサブタイプを完全に分離することの困難さを指摘した。国際細胞外小胞学会 (ISEV) による標準化手順書 (Witwer et al. 2013) の重要性にも言及し、今後の技術開発の必要性を示唆した。本レビューは、既存の文献を統合し、EV研究の現状と課題を明確にすることで、将来の研究の方向性を示すエビデンスレベルの整理を試みた。

本総説は、これらのアプローチを通じて、EV細胞生物学の分野における当時の知識を体系的に整理し、将来の研究の方向性を示すための強固な基盤を構築した。