• 著者: Roth BJ, Johnson DH, Einhorn LH, Schacter LP, Cherng NC, Cohen HJ, Crawford J, Randolph JA, Goodlow JL, Broun GO, Omura GA, Greco FA
  • Corresponding author: Bruce J. Roth, MD (University Hospital, Room 1730, 926 West Michigan, Indianapolis, IN 46202)
  • 雑誌: Journal of Clinical Oncology
  • 発行年: 1992
  • Epub日: N/A
  • Article種別: Original Article
  • PMID: 1310103

背景

進展型小細胞肺癌 (ED-SCLC) は、診断時点で胸郭外播種を伴う SCLC の病型であり、1980 年代当時、その標準治療としての化学療法レジメンは主に2系統に大別された。一つはシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンからなる CAV レジメンであり、客観的奏効率 (ORR) 55-65%、完全奏効率 (CR) 10-15% を達成する古典的なレジメンとして広く用いられていた (Livingston et al. 1978)。Johnson et al. (1987) は、この CAV レジメンの用量強化が治療成績の改善には繋がらないことを報告している。もう一つはエトポシドとシスプラチンからなる EP レジメンであり、当初は CAV 抵抗性の SCLC 患者に対するサルベージ療法として開発され、約 50% の ORR を示した (Loehrer et al. 1988)。その後、EP は初回治療としても CAV と同等の 50-60% の ORR を示すことが複数の第 II 相試験で報告された (Sierocki et al. 1979; Evans et al. 1985)。

Goldie-Coldman 仮説 (1982) は、薬剤耐性変異株が腫瘍の増殖に伴って増加するという数学的モデルに基づき、非交差耐性 (non-cross-resistant) の複数の化学療法レジメンを迅速に交互に投与 (rapid alternation) することで、耐性クローンの出現を阻止し、腫瘍細胞死を最大化できると予測した (Goldie et al. 1982)。この仮説に基づき、ホジキンリンパ腫や乳癌で交互投与レジメンが試みられたが、有意な効果は確認されなかった (Canellos et al. 1988; Henderson et al. 1987)。しかし、SCLC では利用可能な薬剤候補が多く、理論的には交互投与戦略を試験しやすい状況にあった。

SCLC における先行する交互投与試験は混合した結果を示している。National Cancer Institute of Canada (NCIC) が実施した Evans et al. (1987) の試験では、289 例の ED-SCLC 患者を対象に CAV 単独群と CAV/EP 交互投与群を比較し、交互投与群で ORR (80% vs 63%)、無増悪生存期間 (PFS)、および全生存期間 (OS) (9.6 vs 8.0 か月) のいずれもが有意に優れていると報告された。しかし、この NCIC 試験にはいくつかの不足点が指摘された。(1) EP 単独群が含まれていなかったため、「交互投与自体」の効果と「エトポシドの追加」による効果を明確に切り分けることができなかった。(2) 患者のパフォーマンスステータス (PS) の層別化が不十分であり、治療アーム間の不均衡 (PS 不良の患者が CAV 群に偏った可能性) が疑われた (Fisher’s exact test p=0.079)。(3) ED-SCLC のみでこの交互投与の優位性が再現可能であるか不明であった。また、日本の肺癌化学療法研究会による Tamura et al. (1989) の試験では、288 例の SCLC 患者を対象とした 3 群比較で、限局型 (limited disease) のみで交互投与群の OS 改善が認められたが、ED-SCLC では差がなかった。ドイツの Wolf et al. (1991) の試験でも交互投与によるベネフィットは認められなかった。

これらの背景から、Southeastern Cancer Study Group (SECSG) は、NCIC 試験の交互投与優位性の報告を検証し、Goldie-Coldman 仮説の臨床的妥当性をより厳密に評価する必要があると判断した。特に、EP 単独群を含めた 3 群比較デザイン、厳密な PS 層別化、および大規模な患者コホートによる検証が未解明な点を明らかにするために不可欠であった。

目的

本研究の目的は、進展型小細胞肺癌 (ED-SCLC) 患者に対する初回治療として、(1) シスプラチンとエトポシドからなる EP レジメン単独 (12週間)、(2) シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンからなる CAV レジメン単独 (18週間)、および (3) これら2つのレジメンを交互に投与する CAV/EP 交互投与レジメン (18週間) の3群を比較し、その客観的奏効率 (ORR)、完全奏効率 (CR)、無増悪生存期間 (TTP)、全生存期間 (OS)、および毒性プロファイルを評価することであった。これにより、Goldie-Coldman 仮説に基づいた交互投与戦略の臨床的優越性を、多施設共同の第 III 相ランダム化比較試験によって検証することを目的とした。特に、EP 単独群を含めることで、交互投与自体の効果と、単にエトポシドを追加することによる効果を区別し、交互投与の真の臨床的意義を明らかにすることを目指した。

結果

患者特性 (Table 1): ランダム化された 477 例中、40 例 (8.4%) が不適格と判断され、最終的に 437 例が解析対象となった。EP 群 n=148、CAV 群 n=146、CAV/EP 交互投与群 n=143 であった。3 群間で年齢中央値 (約 62 歳)、男女比 (男性 75-83%)、人種 (白人 80-89%)、Zubrod PS 分布 (PS 0-1 が約 55%、PS 2-3 が約 45%)、ベースラインのアルカリホスファターゼ (ALP) 値、乳酸脱水素酵素 (LDH) 値において、統計的に有意な差は認められず (全て p>0.4)、良好にバランスが取れていた。これは、性別、治療施設、PS による層別化が効果的に機能したことを示している。

奏効率 (Table 2): 治療効果が評価可能であった 418 例における客観的奏効率 (ORR: CR+PR) は、EP 群 61% (85/140)、CAV 群 51% (71/140)、CAV/EP 交互投与群 60% (82/138) であった。3 群間に統計的に有意な差は認められなかった (Mantel-Haenszel test、PS および性別で補正後 p=0.175)。完全奏効率 (CR rate) も EP 群 10%、CAV 群 7.1%、CAV/EP 交互投与群 7.2% であり、統計的有意差はなかった (p=0.696)。最良奏効までの期間中央値も、EP 群 4.6 週、CAV 群 6.3 週、CAV/EP 交互投与群 6.5 週であり、同等であった (p=0.251)。多変量ロジスティック回帰分析 (Table 3) では、EP 群と CAV 群の比較においてのみ、EP 群に有利な傾向が示唆されたが (p=0.059、オッズ比 1.6、95% CI 1.0-2.6)、統計的有意水準には達しなかった。CAV/EP 交互投与群と CAV 群 (p=0.10)、CAV/EP 交互投与群と EP 群 (p=0.807) の間には差は認められなかった。

クロスオーバー治療の奏効: EP 導入療法後の CAV クロスオーバー治療を受けた n=41 例における ORR は 12% (5/41) であった。一方、CAV 導入療法後の EP クロスオーバー治療を受けた n=59 例における ORR は 22% (13/59) であった。これらの奏効率は両者とも低率であった。EP 奏効例における CAV セカンドライン治療の ORR は 14% (4/28) であったのに対し、CAV 奏効例における EP セカンドライン治療の ORR は 28% (9/32) であったが、この差は統計的に有意ではなかった (オッズ比 2.3、95% CI 0.7-7.1、p=0.154)。この結果は、EP と CAV が真に非交差耐性ではなく、部分的に交差耐性であることを示唆しており、Goldie-Coldman 仮説の基本的な前提に疑問を投げかける重要な所見である。

無増悪生存期間 (TTP) (Fig. 1): 治療効果が評価可能であった 418 例中、414 例 (99%) が報告時点で病勢進行していた。TTP 中央値は、EP 群 4.3 か月 (95% CI 3.4-5.1)、CAV 群 4.0 か月 (95% CI 3.4-4.6)、CAV/EP 交互投与群 5.2 か月 (95% CI 4.4-6.0) であった。性別と PS で層別化されたログランク検定では、統計的有意水準にわずかに達しなかった (p=0.052)。ペアワイズ比較では、CAV/EP 交互投与群が CAV 単独群と比較して有意に TTP を延長した (p=0.008) が、Bonferroni 補正後の有意水準 α=0.017 を考慮すると、全体としての交互投与の優越性は弱いと解釈された。EP 群と CAV/EP 交互投与群の間には有意差はなかった。多変量 Cox 比例ハザードモデル (Table 3) では、ベースラインの血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ (SGOT) 値のみが TTP の独立した予後因子として残った (p=0.020)。

全生存期間 (OS) (Fig. 2): 全 437 例の適格患者の生存状況が追跡され、報告時点で 422 例 (97%) が死亡しており、追跡期間中央値は 38 か月であった。OS 中央値は、EP 群 8.6 か月 (95% CI 7.0-9.7、範囲 0.1-66.9+)、CAV 群 8.3 か月 (95% CI 7.3-9.4、範囲 0.1-58+)、CAV/EP 交互投与群 8.1 か月 (95% CI 6.8-9.4、範囲 0.1-38+) であった。3 群間に統計的に有意な差は認められなかった (層別化ログランク検定 p=0.425)。CAV 群 (8.3 か月) と CAV/EP 交互投与群 (8.1 か月) の間では、交互投与群の OS がわずかに低い結果であった。多変量 Cox 比例ハザードモデル (PS および性別で層別化) では、ベースラインの ALP 値のみが OS の独立した予後因子として同定され (p=0.004)、治療レジメンは OS の予測に寄与しなかった。

クロスオーバー後の OS: CAV から EP へクロスオーバーした患者のクロスオーバーからの OS 中央値は 5.1 か月 (95% CI 4.3-6.0) であったのに対し、EP から CAV へクロスオーバーした患者では 4.3 か月 (95% CI 2.2-6.0) であり、統計的に有意な差はなかった (p=0.662)。これは、ED-SCLC 患者におけるセカンドライン化学療法の効果が本質的に低いことを示している。

用量強度 (Dose Intensity): 投与されたサイクル数中央値は、EP 群で 4/4 サイクル、CAV 群で 5/6 サイクル、CAV/EP 交互投与群で 2.5/3 サイクルであった。相対用量強度 (RDI) は、EP 併用療法で 0.79、CAV 併用療法で 0.92 であった。CAV/EP 交互投与群では、EP コンポーネントの RDI が 0.76、CAV コンポーネントの RDI が 0.89 であり、各レジメンの用量強度は概ね維持されていた。これは、交互投与群において各レジメンが標準用量で投与されており、用量不足による結果の悪化ではないことを示唆している。

毒性 (Table 4): 全 477 例のランダム化された患者で毒性が評価された。主要な用量制限毒性は全 3 群で骨髄抑制であったが、そのパターンと重症度は治療アーム間で異なった。グレード 3-4 の貧血は EP 群 35% (グレード 4: 15%)、CAV 群 18% (グレード 4: 5%)、CAV/EP 交互投与群 36% (グレード 4: 16%) であり、EP 群および CAV/EP 交互投与群で CAV 群と比較して有意に高頻度であった (p=0.0001)。グレード 3-4 の血小板減少症は EP 群 13% (グレード 4: 5%)、CAV 群 5% (グレード 4: 1%)、CAV/EP 交互投与群 23% (グレード 4: 9%) であり、CAV/EP 交互投与群が EP 単独群と比較して有意に高頻度であった (p=0.026)。グレード 3-4 の白血球減少症は EP 群 41% (グレード 4: 14%)、CAV 群 60% (グレード 4: 28%)、CAV/EP 交互投与群 55% (グレード 4: 31%) であり、CAV 群および CAV/EP 交互投与群で EP 単独群と比較して有意に高頻度であった (それぞれ p=0.001、p=0.012)。グレード 3-4 の好中球減少症の発生率には有意差はなかったが、グレード 4 の好中球減少症のみでは CAV 群 (52%) および CAV/EP 交互投与群 (54%) が EP 群 (38%) より有意に高頻度であった (それぞれ p=0.014、p=0.005)。グレード 3-4 の感染症は EP 群 8%、CAV 群 16%、CAV/EP 交互投与群 18% であり、CAV 含有アームで高頻度であった。グレード 3-4 の出血は全群で 1-3% と稀であった。治療関連死は EP 群 9/159 (6%)、CAV 群 6/156 (4%)、CAV/EP 交互投与群 11/162 (7%) であり、交互投与群でやや高い傾向が認められた (全ランダム化患者 477 例中 26 例、5.5%)。毒性による治療中止は EP 群 2 例 (1%)、CAV 群 4 例 (3%)、CAV/EP 交互投与群 8 例 (5%) であり、交互投与群が最も多かった。腎毒性グレード 3-4 はシスプラチン含有アーム (EP 群 3%、CAV/EP 交互投与群 4%) でやや多かったが、全体として軽微であった。

考察/結論

先行研究との違い: 本 Southeastern Cancer Study Group (SECSG) 試験は、National Cancer Institute of Canada (NCIC) が報告した Evans et al. AnnInternMed 1987 の試験 (CAV vs CAV/EP 交互投与、ED-SCLC) とは異なり、いくつかの点で改良されたデザインを採用した。第一に、EP 単独群を第三のアームとして追加することで、「交互投与自体」の効果と「エトポシドの追加」による効果を明確に切り分けることが可能となった。NCIC 試験では EP 単独群がなかったため、交互投与の優位性がエトポシドの導入によるものか、交互投与スケジュールによるものか不明であった。第二に、本試験では患者登録時に PS で層別化を行い、治療アーム間の患者特性のバランスを確保した。NCIC 試験では PS 分布が不均衡であった可能性が指摘されている (Fisher’s exact test p=0.079)。第三に、本試験では脳転移を有する患者も対象に含めたが、NCIC 試験では除外されていた。第四に、本試験は 437 例と NCIC 試験の 289 例よりも大規模な患者コホートを対象とした。これらの改良により、交互投与戦略の臨床的優越性をより厳密に検証することが可能となった。本試験の CAV/EP 交互投与群の ORR 59.4%、CR 7.2%、OS 8.1 か月という結果は、NCIC 試験の 80%、39%、9.6 か月という結果と大きく乖離しており、この主な原因として、本試験の交互投与群における PS 2-3 の患者比率が 51% であったのに対し、NCIC 試験では 36.5% であったという患者背景の差が最大の要因であると推定された。

新規性: 本研究で新規な点は、Goldie-Coldman 仮説に基づく交互投与化学療法の優越性を ED-SCLC における大規模ランダム化比較試験で明確に否定した初の試験であることである。さらに、EP と CAV が真の非交差耐性レジメンではなく、部分的に交差耐性であること (クロスオーバー治療における ORR が 12-22% と低率であったこと) を実証した。これは、Goldie-Coldman 仮説の基本的な前提条件の一つを実験的に覆す重要なネガティブトライアルであり、その後の SCLC 化学療法戦略に大きな影響を与えた。本試験は、ED-SCLC において OS が約 8 か月の「プラトー」を打破できないことを、3 つの異なるレジメンで同等に再確認した。

臨床応用: 本試験の結果は、ED-SCLC の標準治療に大きな影響を与えた。本試験以降、ED-SCLC の一次治療における標準的な化学療法は、EP (シスプラチン+エトポシド、またはカルボプラチン+エトポシド) の 4-6 サイクルに固定され、交互投与戦略は臨床現場で廃れた。この EP/CE レジメンは、現在の免疫チェックポイント阻害剤併用療法 (例えば、Horn et al. NEnglJMed 2018 が報告したアテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシドや、デュルバルマブ+プラチナ+エトポシド) の化学療法バックボーンとして直接受け継がれている。CAV レジメンは、エトポシド開発以前の古いレジメンとして、急速に使用が減少した。本研究は、ED-SCLC の治療成績が約 30 年間、免疫チェックポイント阻害剤の登場まで約 8 か月の OS プラトーを打破できなかったことを示唆するものでもある。

残された課題: 今後の検討課題として、いくつかの点が残されている。(1) 本試験における CAV の ORR 51% は NCIC 試験の 63% よりも低く、治療施設や時代、PS 分布の影響が大きいことが示唆され、過去の対照群との比較の限界を浮き彫りにした。(2) 第二次治療としての「最適なレジメン」は未解決のままである。本試験当時は CAV または EP へのクロスオーバーが唯一の選択肢であったが、現在ではイリノテカン、トポテカン、アムルビシン、ルビネクテジンなど多様な選択肢が存在する。(3) ED-SCLC における OS 8 か月のプラトーを打破する手段は、免疫チェックポイント阻害剤の時代まで待つ必要があった。(4) Goldie-Coldman 仮説そのものの妥当性、特に非交差耐性レジメンの同定の困難さと、細胞株に基づくモデルの臨床的限界が浮き彫りになった。今後の研究では、DLL3 標的 BiTE (bispecific T-cell engager) であるタルラタマブ (Giffin et al. ClinCancerRes 2021) のような新規モダリティ、ctDNA (circulating tumor DNA) ガイドによる個別化治療、SCLC サブタイプ (ASCL1/NEUROD1/POU2F3/YAP1) に基づくバイオマーカー駆動型治療選択などが検討される必要がある。総じて、本研究は ED-SCLC 化学療法領域において交互投与戦略を明確に否定し、EP/CE 単独レジメンを約 30 年間の標準治療として確立した画期的なネガティブトライアルである。

方法

試験デザイン: 本試験は、Southeastern Cancer Study Group (SECSG) が主導した多施設共同第 III 相ランダム化比較試験であり、米国南東部およびプエルトリコの 21 施設が参加した。患者登録は 1985 年 2 月から 1989 年 4 月にかけて行われ、その結果は 1989 年の ASCO 第 25 回年次総会で先行発表され、1992 年に Journal of Clinical Oncology に掲載された。本試験は、Goldie-Coldman 仮説の臨床的妥当性を検証し、EP と CAV という二つの主要なレジメンの相対的な有効性と毒性を評価することを目的とした。

患者選択: 18 歳以上の患者で、組織学的または細胞学的に SCLC と確定診断され、ED-SCLC (原発部位、縦隔、同側鎖骨上リンパ節を超える病変) を有し、先行する化学療法または放射線療法を受けていない患者が対象とされた。Zubrod PS 0-3 が必須条件であった。悪性胸水のみが転移部位である患者は除外された。また、うっ血性心不全、3ヶ月以内の心筋梗塞、不整脈治療中、ビリルビン >2.0 mg/dL、クレアチニン >1.8 mg/dL (男性) または >1.5 mg/dL (女性) の患者も除外された。骨髄浸潤がない場合の白血球数 <4,000/μL または血小板数 <100,000/μL の患者も不適格とされたが、骨髄浸潤がある場合は白血球数 >3,000/μL および血小板数 >50,000/μL であれば適格とされた。脳転移を有する患者は、試験開始時に全脳放射線療法 (WBRT) を併用することを条件に登録が許可された。全ての患者は試験参加前に書面によるインフォームドコンセントを得た。

患者登録と層別化: 477 例の患者がランダム化されたが、40 例 (8.4%) が不適格と判断され除外された。最終的に 437 例の患者が解析対象となり、EP 群 148 例、CAV 群 146 例、CAV/EP 交互投与群 143 例が割り付けられた。ランダム化に先立ち、性別、治療施設、およびパフォーマンスステータス (Zubrod PS 0-1 vs 2-3) によって層別化が行われた。

治療レジメン:

  • Arm A (EP): シスプラチン 20 mg/m² とエトポシド 80 mg/m² をそれぞれ Day 1-5 に静脈内投与し、これを 3 週ごとに 4 サイクル (計 12 週) 実施した。シスプラチン投与時には、尿量 100 cc/h 以上を確保するための十分な輸液が義務付けられた。
  • Arm B (CAV): シクロホスファミド 1,00in mg/m²、ドキソルビシン 40 mg/m²、ビンクリスチン 1 mg/m² (最大 2.0 mg) を全て Day 1 に静脈内投与し、これを 3 週ごとに 6 サイクル (計 18 週) 実施した。
  • Arm C (CAV/EP 交互投与): Arm B と同用量の CAV を Day 1 に投与し、続いて Arm A と同用量の EP を Day 22-26 に投与した。この 6 週サイクルを 3 サイクル (計 18 週) 実施した。

用量調整とクロスオーバー: 次のサイクル開始時に白血球数 <4,000/μL または血小板数 <100,000/μL の場合、治療を 1 週間延期した。好中球数 <500/μL を伴う発熱/感染、または血小板数 <50,000/μL を伴う臨床的に有意な出血があった場合、シクロホスファミド、ドキソルビシン、エトポシドの用量を 25% 減量した。シスプラチンまたはビンクリスチンの用量変更は血液毒性に対して行われなかった。血清クレアチニン値がベースラインの 150% を超えた場合、シスプラチンは 1 サイクル中止され、ベースライン値に戻った後に再開された。腎毒性が持続する場合は、CAV へのクロスオーバーが義務付けられた。病勢進行時には、EP 群から CAV へ (最大 6 サイクル)、CAV 群から EP へ (最大 4 サイクル) のクロスオーバー治療が許可された。CAV/EP 群の患者に対するサルベージ治療の選択は、担当医の裁量に委ねられた。

評価項目: 客観的奏効は、6 週間以上の治療を完了した患者で評価された。CR は全ての客観的病変が 4 週間以上消失すること、PR は測定可能病変の直径積が 4 週間以上 50% 以上縮小することと定義された。病勢進行 (PD) は、測定可能病変の直径積が 25% 以上増加するか、新たな病変が出現することと定義された。毒性は WHO (World Health Organization) グレード 0-4 に従って評価された。

統計解析: 主要評価項目は OS であった。サンプルサイズは、Arm A vs Arm B または Arm C vs Arm B で OS 中央値が 40% 増加することを、有意水準 α=0.05、検出力 0.90 で検出するために、各アーム 152 例 (合計 456 例) と計算された。カテゴリカル変数の比較には Fisher’s exact test、連続変数の比較には Wilcoxon rank-sum test および Kruskal-Wallis test が用いられた。治療奏効の比較には、PS および性別で層別化された Mantel-Haenszel test が用いられ、多変量解析にはロジスティック回帰モデルが適用された。生存率曲線は Kaplan-Meier 法で推定され、層別化ログランク検定 (stratified log-rank test) が生存曲線の比較に用いられた。潜在的な予後因子の解析には、単変量および多変量解析が用いられ、多変量解析には Cox 比例ハザードモデルが適用された。p 値 <0.05 を統計的有意と判断した。3群間の多重比較においては、Bonferroni 補正を適用し、α=0.017 を有意水準とした。用量強度 (dose intensity) は、各薬剤の mg/m²/週として計算され、相対用量強度 (RDI) は、プロトコル規定用量に対する実際の投与量の割合として算出された (Hryniuk 1987)。