• 著者: Fehrenbacher L, Spira A, Ballinger M, Kowanetz M, Vansteenkiste J, Mazieres J, Park K, Smith D, Artal-Cortes A, Lewanski C, Braiteh F, Waterkamp D, He P, Zou W, Chen DS, Yi J, Sandler A, Rittmeyer A
  • Corresponding author: Louis Fehrenbacher, MD (Kaiser Permanente Medical Center Oncology Department, Vallejo, CA, USA)
  • 雑誌: The Lancet
  • 発行年: 2016
  • Epub日: 2016-03-09
  • Article種別: Original Article
  • PMID: 26970723

背景

白金製剤による化学療法後に進行した進行または転移性非小細胞肺がん (NSCLC) 患者に対する二次治療の予後は不良であり、2016年当時、ドセタキセル (75 mg/m²) が標準治療として確立されていたものの、その有効性は限定的であった。ドセタキセル治療における全生存期間 (OS) 中央値は6〜9ヶ月、客観的奏効率 (ORR) は10〜15%程度であり、さらにGrade 3/4の重篤な有害事象が30〜40%以上の高頻度で発生するという課題を抱えていた。このような状況下で、新たな治療選択肢の開発が強く求められていた。

プログラム細胞死リガンド1 (PD-L1) は、腫瘍細胞 (TC) および腫瘍浸潤免疫細胞 (IC) の表面に発現する免疫チェックポイントタンパク質である。PD-L1は、T細胞上のプログラム細胞死1 (PD-1) 受容体やB7.1受容体(CD80)に結合することで、抗腫瘍T細胞の機能を抑制し、がん細胞の免疫回避を促進する役割を果たすことが知られている Chen et al. Immunity 2013。このPD-L1-PD-1経路の阻害は、がん免疫療法における有望なアプローチとして注目されていた。

アテゾリズマブ (MPDL3280A; F Hoffmann-La Roche/Genentech) は、ヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、Fc受容体への結合を排除するように改変されているため、抗体依存性細胞傷害 (ADCC) を回避しつつ、PD-L1とPD-1、およびPD-L1とB7.1の両方の相互作用を特異的に遮断する。これにより、T細胞の抗腫瘍活性を回復させ、T細胞のプライミングを増強することが期待された。アテゾリズマブは、腫瘍細胞だけでなく、腫瘍浸潤免疫細胞上のPD-L1も標的とすることで、免疫細胞のみにPD-L1を発現するTC陰性・IC陽性の患者にも治療効果をもたらす可能性があった。

これまでの早期臨床試験では、アテゾリズマブがNSCLC患者において持続的な奏効を示すことが報告されており Herbst et al. Nature 2014、腫瘍細胞および腫瘍浸潤免疫細胞の両方におけるPD-L1発現が治療応答の予測因子となる可能性が示唆されていた。しかし、これらのバイオマーカー仮説は、ランダム化比較試験において前向きに検証されたことはなく、その予測的価値は未確立であった。特に、PD-L1発現レベルと治療効果の用量反応的な関係や、TCとICのPD-L1発現が独立した予測因子であるかどうかの詳細な検証が不足していた。また、抗PD-1抗体に関する複数の研究は報告されていたが Borghaei et al. NEnglJMed 2015、抗PD-L1抗体としてのランダム化比較試験のデータは手薄であった。

POPLAR試験は、PD-L1阻害剤として初めて、既治療NSCLC患者を対象にドセタキセルと比較するランダム化比較試験 (第II相) として実施された。本試験の目的は、アテゾリズマブの有効性と安全性を評価するとともに、腫瘍細胞および腫瘍浸潤免疫細胞におけるPD-L1発現レベルが治療効果の予測因子となるというバイオマーカー仮説を前向きに検証し、その臨床的意義を明らかにすることであった。

目的

本試験の目的は、白金製剤による化学療法後に進行した局所進行性または転移性 (Stage IIIB/IV) の非小細胞肺がん (NSCLC) 患者を対象に、アテゾリズマブ 1200 mgを3週間に1回投与する群と、ドセタキセル 75 mg/m²を3週間に1回投与する群の有効性および安全性を比較することであった。

主要評価項目は、intention-to-treat (ITT) 集団における全生存期間 (OS) であった。副次評価項目としては、治験責任医師評価による無増悪生存期間 (PFS)、客観的奏効率 (ORR)、奏効期間 (DOR)、および安全性プロファイルが設定された。

さらに、本試験では、腫瘍細胞 (TC) および腫瘍浸潤免疫細胞 (IC) におけるPD-L1発現レベル別にサブグループ解析を実施し、PD-L1発現がアテゾリズマブの治療効果を予測するバイオマーカーとしての価値を有するかどうかを評価することも重要な目的であった。特に、PD-L1発現レベルの上昇に伴うOS利益の用量反応的な関係、およびTCとICのPD-L1発現が独立した予測因子であるかどうかの検証を目指した。このバイオマーカー解析は、従来の抗PD-1抗体の研究で主に腫瘍細胞のPD-L1発現が注目されてきたことに対し、免疫細胞のPD-L1評価の重要性を強調するものであった。

結果

患者背景: n=287名の患者が登録され、アテゾリズマブ群にn=144名、ドセタキセル群にn=143名が割り付けられた。ベースラインの患者特性は両群間で概ね均衡がとれていたが、ドセタキセル群で女性患者の割合がやや高かった (アテゾリズマブ群 35% vs ドセタキセル群 47%)。組織型は非扁平上皮がんが66%、扁平上皮がんが34%であった。前治療ライン数は1ラインが66%、2ラインが34%であった。PD-L1発現状況では、IC0がアテゾリズマブ群で43%、ドセタキセル群で44%、TC0がアテゾリズマブ群で67%、ドセタキセル群で57%であった。

全体OS (主要評価項目): データカットオフ日 (2015年5月8日) 時点で、ITT集団においてn=173件の死亡イベント (全体の60%) が確認された。アテゾリズマブ群のOS中央値は12.6ヶ月 (95% CI 9.7-16.4) であったのに対し、ドセタキセル群では9.7ヶ月 (95% CI 8.6-12.0) であった。アテゾリズマブはドセタキセルと比較してOSを有意に改善し、ハザード比 (HR) は0.73 (95% CI 0.53-0.99, p=0.04) であった (Figure 3A)。治療期間中央値は、アテゾリズマブ群で3.7ヶ月 (範囲 0-19) vs ドセタキセル群で2.1ヶ月 (範囲 0-17) であった。

PD-L1発現別OS: PD-L1発現レベルの上昇に伴い、アテゾリズマブによるOS改善の度合いが増加する用量反応的な関係が認められた (Figure 3B-F)。

  • TC3またはIC3 (PD-L1最高発現群): HR 0.49 (95% CI 0.22-1.07, p=0.068)。統計的有意差は認められなかったが、最も大きなOS改善傾向を示した。
  • TC2/3またはIC2/3 (PD-L1発現が5%以上): HR 0.54 (95% CI 0.33-0.89, p=0.014)。有意なOS改善が認められた。
  • TC1/2/3またはIC1/2/3 (PD-L1発現が1%以上): HR 0.59 (95% CI 0.40-0.85, p=0.005)。有意なOS改善が認められた。
  • TC0かつIC0 (PD-L1完全陰性群): HR 1.04 (95% CI 0.62-1.75, p=0.871)。アテゾリズマブ群とドセタキセル群の間でOSに有意な差は認められず、アテゾリズマブの利益は認められなかった (Figure 3F)。

非重複サブグループ解析により、TCおよびICのPD-L1発現がそれぞれ独立して予測価値を持つことが示された。特に、TC0かつIC1/2/3 (腫瘍細胞は陰性だが免疫細胞が陽性) の患者においても、アテゾリズマブによるOS改善が認められた。アテゾリズマブは、奏効した患者だけでなく、奏効しなかった患者においてもドセタキセルと比較してOSを改善した。

PFSおよびORR: ITT集団におけるPFS中央値は、アテゾリズマブ群で2.7ヶ月 vs ドセタキセル群で3.0ヶ月であり、HRは0.94 (95% CI 0.72-1.23) で統計的に有意な差はなかった。ORRは両群ともに15% (アテゾリズマブ群 n=21/144例 vs ドセタキセル群 n=21/143例) で同等であった。しかし、奏効持続期間 (DOR) 中央値は、アテゾリズマブ群で14.3ヶ月 (95% CI 11.6-非推定) であったのに対し、ドセタキセル群では7.2ヶ月 (95% CI 5.6-12.5) と、アテゾリズマブ群で大幅に延長していた。データカットオフ時点で、アテゾリズマブ群の奏効例のうち57% (n=12/21例) が奏効継続中であったのに対し、ドセタキセル群では24% (n=5/21例) であった。PFSおよびORRの改善は、OSと同様にPD-L1発現レベルの上昇と相関する傾向を示し、特にTC3またはIC3サブグループで最も顕著であった (PFS HR 0.60, ORR 38% vs 13%)。

組織型別OS: 非扁平上皮がん患者 (n=190) において、アテゾリズマブ群のOS中央値は15.5ヶ月 vs ドセタキセル群は10.9ヶ月であり、HRは0.69 (95% CI 0.47-1.01) であった。扁平上皮がん患者 (n=97) においては、アテゾリズマブ群のOS中央値は10.1ヶ月 vs ドセタキセル群は8.6ヶ月であり、HRは0.80 (95% CI 0.49-1.30) であった。両組織型においてアテゾリズマブによるOS改善傾向が認められた。

探索的バイオマーカー解析: Tエフェクター・インターフェロンγ関連遺伝子シグネチャー (CD8A, GZMA, GZMB, IFNγ, EOMES, CXCL9, CXCL10, TBX21) の発現が高い患者群では、アテゾリズマブによるOS改善が特に顕著であった (HR 0.43, 95% CI 0.24-0.77) (Figure 4B)。このTエフェクター・インターフェロンγシグネチャーは、ICのPD-L1発現と相関しており、腫瘍浸潤免疫細胞上のPD-L1発現が腫瘍内の既存免疫 (pre-existing immunity) の存在を反映している可能性が示唆された。また、PD-L2遺伝子発現が高い患者群でもアテゾリズマブのOS改善との関連が認められた (Figure 4A)。

安全性: アテゾリズマブ群の治療期間中央値は3.7ヶ月とドセタキセル群の2.1ヶ月よりも長かったにもかかわらず、Grade 3-4の有害事象の発生率はアテゾリズマブ群で40% (n=57/142例) と、ドセタキセル群の53% (n=71/135例) よりも低かった (Table 2)。特に、治療関連のGrade 3-4有害事象は、アテゾリズマブ群で11% (n=16/142例) であったのに対し、ドセタキセル群では39% (n=52/135例) と顕著な差が認められた (Figure 5B)。治療中止に至った患者の割合も、アテゾリズマブ群で8% (n=11/142例) とドセタキセル群の22% (n=30/135例) より低かった。治療関連死は、アテゾリズマブ群で1例 (<1%、心不全) であったのに対し、ドセタキセル群では3例 (2%、敗血症2例、原因不明1例) であった。アテゾリズマブ群で5%以上の差が認められた主な有害事象は、脱毛症、好中球減少症、疲労、悪心、下痢、貧血、食欲不振、末梢神経障害など、ドセタキセルに特徴的なものであった (Figure 5A)。免疫関連有害事象 (任意のグレード) は、AST上昇 (n=6例、4%)、ALT上昇 (n=6例、4%)、肺臓炎 (n=4例、3%)、大腸炎 (n=2例、1%)、肝炎 (n=1例、1%) など、いずれも低頻度で発生し、概ね管理可能であった。

考察/結論

先行研究との違い: POPLAR試験は、既治療NSCLC患者においてPD-L1阻害剤であるアテゾリズマブがドセタキセルと比較してOSを有意に改善することを示した、PD-L1阻害剤として初のランダム化比較試験 (第II相) である。本研究のOS改善効果 (HR 0.73, 95% CI 0.53-0.99, p=0.04) は、同時期に報告された抗PD-1抗体であるニボルマブやペムブロリズマブの臨床試験 Borghaei et al. NEnglJMed 2015Brahmer et al. NEnglJMed 2015Garon et al. NEnglJMed 2015Herbst et al. Lancet 2016 と同様の有効性を示しており、PD-L1を標的とすることの治療的価値を裏付けるものである。これまでの研究では、PD-L1発現が腫瘍細胞のみで評価されることが多かったのに対し、本研究は腫瘍細胞と腫瘍浸潤免疫細胞の両方におけるPD-L1発現の予測的価値を前向きに検証した点で、これまでの報告とは対照的である。

新規性: 本研究で初めて、PD-L1発現レベルの上昇に伴いアテゾリズマブのOS利益が増加するという用量反応的なパターンが明確に示された。特に、TC3またはIC3 (HR 0.49)、TC2/3またはIC2/3 (HR 0.54)、TC1/2/3またはIC1/2/3 (HR 0.59) と、PD-L1発現が高いほどHRが小さくなる傾向が認められた。さらに、腫瘍細胞と腫瘍浸潤免疫細胞のPD-L1発現がそれぞれ独立してアテゾリズマブのOS改善を予測する因子であることが新規に示された。これは、抗PD-1抗体の研究では主に腫瘍細胞のPD-L1発現が注目されてきたことに対し、免疫細胞のPD-L1評価の重要性を強調する点で、これまで報告されていない重要な知見である。TC0かつIC1/2/3 (腫瘍細胞陰性・免疫細胞陽性) の患者でもOS改善が認められたことは、この新規性を裏付けている。また、探索的に見出されたTエフェクター・インターフェロンγ関連遺伝子シグネチャーが高い患者でアテゾリズマブのOS改善が顕著であったという探索的解析結果は、既存免疫の存在が治療効果に寄与するという仮説を支持するものであり、今後のバイオマーカー開発の出発点となる新規性の高い発見である。

臨床応用: 本試験では、ITT集団およびPD-L1発現サブグループにおいて、PFSやORRでは有意な改善が見られなかったにもかかわらず、OSで有意な改善が認められたという「OS-PFS乖離」が観察された。これは免疫療法の特性を反映するものであり、RECIST基準による放射線学的評価がアテゾリズマブの真の利益を過小評価している可能性を示唆している。免疫療法では、治療開始後しばらくして効果が発現したり、RECIST基準で進行と判断された後も臨床的利益が継続したりする「遅延奏効」や「偽進行」といった非典型的な奏効パターンが知られている。奏効しなかった患者においてもアテゾリズマブのOS改善が認められたことは、この仮説を支持する。この知見は、免疫療法の臨床評価において、従来のRECIST基準だけでなく、OSのような長期的なアウトカムの重要性を再認識させるものであり、臨床現場での治療判断に重要な含意を持つ。アテゾリズマブのGrade 3-4治療関連有害事象がドセタキセルと比較して大幅に低かった (11% vs 39%) ことは、患者のQoL維持の観点から臨床的に極めて重要な意義を持つ。

残された課題と今後の方向性: POPLAR試験は第II相試験であり、その試験規模 (n=287) は一部の小規模なサブグループ解析における統計的検出力に制限があった。特に、PD-L1完全陰性 (TC0かつIC0) 患者におけるアテゾリズマブの利益の有無については、本試験では有意差が認められず、確定的な結論を導き出すには至らなかった。この課題は、より大規模な第III相OAK試験 (NCT02008227) に引き継がれた。OAK試験では、ITT集団全体でOSの有意な改善が確認され、TC0/IC0患者においてもOS改善傾向が示されたことで、アテゾリズマブは2016年にFDA承認を取得した。OAK試験の結果はPOPLAR試験の知見を補完し、アテゾリズマブの幅広い患者集団における有効性を示唆している。また、探索的に見出されたTエフェクター・インターフェロンγシグネチャーの予測価値については、前向き検証が必要である。PD-L1以外のバイオマーカー (例えば腫瘍変異負荷 (TMB) など) との組み合わせによる治療戦略の最適化も、今後の研究課題として残されている。

方法

試験デザインと施設: POPLAR試験 (ClinicalTrials.gov登録番号: NCT01903993) は、多施設共同、オープンラベル、第II相ランダム化比較試験として実施された。欧州および北米の13カ国61の学術医療センターおよび地域のがん診療施設が参加した。試験は、GCP (Good Clinical Practice) ガイドラインおよびヘルシンキ宣言に完全に準拠して実施され、各施設の独立倫理委員会からプロトコル承認を得た。

対象患者: 2013年8月5日から2014年3月31日までに患者が登録された。対象患者は18歳以上で、白金製剤を含む化学療法後に進行したStage IIIB/IVのNSCLC患者であった。主要な組み入れ基準は、ECOG Performance Status 0または1、RECIST v1.1に基づく測定可能病変、および十分な血液学的・臓器機能であった。また、中央PD-L1検査のためにホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍検体を提供できることが必須であった。主な除外基準は、活動性または未治療の中枢神経系転移、肺炎の既往歴、自己免疫疾患、慢性ウイルス性疾患、およびドセタキセル、CD137アゴニスト、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、またはPD-L1-PD-1経路を標的とする薬剤による先行治療歴であった。合計n=287名の患者が登録され、アテゾリズマブ群にn=144名、ドセタキセル群にn=143名が無作為に割り付けられた。少なくとも1回以上の治験薬投与を受けた患者は、アテゾリズマブ群でn=142名、ドセタキセル群でn=135名であった。

無作為化と盲検化: 患者は、腫瘍浸潤免疫細胞 (IC) のPD-L1発現レベル、前治療ライン数 (1ライン vs 2ライン)、および組織型 (非扁平上皮 vs 扁平上皮) で層別化された後、インタラクティブ音声応答システムまたはウェブシステムを用いて、1:1の比率で置換ブロック無作為化 (ブロックサイズ4) によりアテゾリズマブ群またはドセタキセル群に割り付けられた。本試験はオープンラベルで実施され、割り付けは非盲検であった。

治療プロトコル: アテゾリズマブ群の患者には、アテゾリズマブ 1200 mg (固定用量) が3週間に1回、静脈内投与された。ドセタキセル群の患者には、ドセタキセル 75 mg/m² が3週間に1回、静脈内投与された。アテゾリズマブは、治験責任医師の判断により臨床的ベネフィットが継続する限り (許容できない毒性または疾患進行による症候性悪化がない場合) 継続された。ドセタキセルは、疾患進行または許容できない毒性が発現するまで投与された。ドセタキセル群からアテゾリズマブ群へのクロスオーバーは許可されなかった。

腫瘍評価: 腫瘍評価は、ベースライン時、無作為化後36週間は6週間ごと、その後は9週間ごと (8〜10週間の範囲) に画像診断により実施された。腫瘍評価は、治療中止後も疾患進行が確認されるまで継続された。アテゾリズマブ群で疾患進行後も治療を継続した患者については、治療中止まで評価が継続された。

PD-L1評価: PD-L1発現は、VENTANA SP142 PD-L1免疫組織化学 (IHC) アッセイ (Ventana Medical Systems) を用いて、前向きに腫瘍細胞 (TC) および腫瘍浸潤免疫細胞 (IC) で中央判定された。TCのPD-L1発現は、PD-L1陽性腫瘍細胞の総腫瘍細胞に対する割合としてスコア化された: TC3 (≥50%)、TC2 (≥5%かつ<50%)、TC1 (≥1%かつ<5%)、TC0 (<1%)。ICのPD-L1発現は、PD-L1陽性免疫細胞が占める腫瘍面積の割合としてスコア化された: IC3 (≥10%)、IC2 (≥5%かつ<10%)、IC1 (≥1%かつ<5%)、IC0 (<1%)。TC3とIC3の腫瘍はほとんど重複しない (<1%) ことが示された。

探索的バイオマーカー解析: 前治療前の腫瘍検体を用いて、Fluidigmベースの遺伝子発現プラットフォームにより免疫関連遺伝子発現が解析された。Tエフェクター・インターフェロンγ関連遺伝子シグネチャーは、CD8A、GZMA、GZMB、IFNγ、EOMES (Eomesodermin)、CXCL9、CXCL10、およびTBX21 (T-box transcription factor 21) の遺伝子発現により定義された。これらの遺伝子は、活性化T細胞、免疫細胞溶解活性、およびインターフェロンγ発現と関連することが報告されている Rooney et al. Cell 2015。PD-L1、PD-1、PD-L2、B7.1の遺伝子発現も解析された。高バイオマーカー群は遺伝子発現が中央値以上、低バイオマーカー群は中央値未満と定義された。

統計解析: 主要評価項目であるOSの最終解析は、ITT集団でn=173件の死亡イベントが発生した時点で実施された。OSおよびPFSの比較には、層別ログランク検定が用いられた (層別因子: 組織型、前治療ライン数、IC PD-L1レベル)。PD-L1 IHCサブグループ解析では、サンプルサイズが小さいため非層別ログランク検定が用いられた。OSおよびPFSの中央値はカプラン・マイヤー法により推定され、95%信頼区間 (CI) はBrookmeyer-Crowley法により算出された。ハザード比 (HR) および95% CIは、ITT集団では層別Cox回帰モデル、PD-L1 IHCサブグループでは非層別Cox回帰モデルを用いて推定された。客観的奏効率 (ORR) はClopper-Pearson法により推定された。安全性は、少なくとも1回以上の治験薬投与を受けた全患者で評価された。有害事象はNCI CTCAE v4.0に基づきグレード分類された。