- 著者: Socinski MA, Jotte RM, Cappuzzo F, Orlandi F, Stroyakovskiy D, Nogami N, Rodriguez-Abreu D, Moro-Sibilot D, Thomas CA, Barlesi F, Finley G, Kelsch C, Lee A, Coleman S, Deng Y, Shen Y, Kowanetz M, Lopez-Chavez A, Sandler A, Reck M
- Corresponding author: Martin Reck, MD (LungenClinic Grosshansdorf, Airway Research Center North, German Center for Lung Research, Grosshansdorf, Germany)
- 雑誌: New England Journal of Medicine
- 発行年: 2018
- Epub日: 2018-06-05
- Article種別: Original Article
- PMID: 29863955
背景
転移性非扁平上皮非小細胞肺がん (NSCLC) の一次治療は、2018年当時、複数の選択肢が存在した。プラチナ製剤ダブレット化学療法は、PD-L1腫瘍細胞 (TC) 発現率が50%未満の大多数の患者に適用されていた。また、血管新生阻害薬であるベバシズマブとカルボプラチン、パクリタキセルを組み合わせたBCP療法は、ECOG 4599試験において全生存期間 (OS) 中央値12.3ヶ月、無増悪生存期間 (PFS) 中央値6.2ヶ月という成績を示し、標準治療の一つであった (Sandler et al. NEnglJMed 2006)。さらに、PD-L1 TC発現率が50%以上の患者に対しては、ペムブロリズマブ単剤療法がKEYNOTE-024試験でPFSのハザード比 (HR) 0.50、OS中央値30ヶ月という優れた結果を示し、一次治療として確立されていた (Reck et al. NEnglJMed 2016)。また、ペムブロリズマブとプラチナ製剤、ペメトレキセドを併用するKEYNOTE-189試験も、HR 0.49という有望な結果を報告していた (Gandhi et al. NEnglJMed 2018)。
しかし、これらの治療体系には共通の課題が存在した。それは、EGFR遺伝子変異やALK転座といったドライバー遺伝子変異陽性例において、チロシンキナーゼ阻害薬 (TKI) 治療後の増悪例を除き、免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) からの明確な有益性が得られにくいという点である。既治療のEGFR変異陽性NSCLC患者を対象としたCheckMate 057試験、KEYNOTE-010試験、OAK試験のサブグループ解析では、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブのいずれもが化学療法を上回る生存利益を示せなかったことが報告されている (Borghaei et al. NEnglJMed 2015, Herbst et al. Lancet 2016, Rittmeyer et al. Lancet 2017)。このため、ドライバー変異陽性患者におけるICIの効果を増強する新たな戦略が求められていた。この領域には依然として治療選択肢が不足しており、知識ギャップが残されている状況であった。
近年、抗VEGF抗体であるベバシズマブが、その抗血管新生作用に加えて、腫瘍微小環境における免疫抑制にも関与することが明らかになった。VEGFシグナルは、制御性T細胞 (Treg) や骨髄由来免疫抑制細胞 (MDSC) の誘導、T細胞のアネルギーや腫瘍からの排除、さらにはPD-L1発現の誘導を介して免疫抑制を媒介すると考えられている (Gabrilovich et al. NatRevImmunol 2009, Chen et al. Immunity 2013)。したがって、ベバシズマブによるVEGF阻害がT細胞の腫瘍浸潤を促進し、アテゾリズマブのPD-L1阻害との相乗効果をもたらすという仮説が立てられた。さらに、TGF-β経路によるT細胞排除もベバシズマブが軽減できる可能性が示唆されていた。これらの知見に基づき、「ベバシズマブによる免疫環境改善 + アテゾリズマブによるPD-L1阻害 + 化学療法」という三者の相乗効果を検証することが、当時の主要な研究課題の一つであった。既存の治療法では、特定の患者集団、特にドライバー変異陽性例やPD-L1低発現例において、ICIの恩恵が不足しているという知識ギャップが残されていた。
アテゾリズマブは、完全ヒト化モノクローナル抗PD-L1抗体であり、PD-L1とPD-1、PD-L1とB7-1の両シグナルを阻害することで、T細胞の活性化を回復させる。POPLAR試験 (Phase 2) およびOAK試験 (Phase 3) において、既治療NSCLC患者に対する単剤での有効性と忍容性が確認されていた (Fehrenbacher et al. Lancet 2016, Rittmeyer et al. Lancet 2017)。本研究は、このアテゾリズマブとベバシズマブ、化学療法の併用が、未治療の転移性非扁平上皮NSCLC患者において、PD-L1発現やドライバー変異の有無にかかわらず、PFSおよびOSを改善するかどうかを評価することを目的としてIMpower150試験として設計された。
目的
本研究の目的は、未治療の転移性非扁平上皮NSCLC患者を対象に、アテゾリズマブ (atezolizumab) とベバシズマブ (bevacizumab) およびカルボプラチン (carboplatin) とパクリタキセル (paclitaxel) を併用するABCP療法、アテゾリズマブとカルボプラチンおよびパクリタキセルを併用するACP療法、ならびにベバシズマブとカルボプラチンおよびパクリタキセルを併用するBCP療法という3群を比較し、その有効性と安全性を評価することであった。主要評価項目として、EGFRまたはALK遺伝子変異を持たない野生型 (WT) 集団における治験担当医評価による無増悪生存期間 (PFS) と全生存期間 (OS) を設定した。また、WT集団のうち、腫瘍組織におけるエフェクターT細胞 (Teff) 遺伝子シグネチャー高発現患者集団 (Teff-high WT集団) におけるPFSも主要評価項目の一つとした。本報告では、PFSの最終解析およびOSの中間解析の結果を示す。特に、ベバシズマブが免疫チェックポイント阻害薬の効果を増強するという仮説に基づき、ABCP群とBCP群の比較を優先的に評価するよう統計解析計画が立てられた。
結果
患者背景: ITT集団n=1,202例のうち、WT集団はn=1,040例 (86.5%) であった (Figure 1)。WT集団の内訳はABCP群n=356例、BCP群n=336例であった。Teff遺伝子シグネチャー発現はWT集団の95.6%で評価可能であり、Teff-high WT集団はWT集団n=1,040例中n=445例 (42.8%) を占めた。WT集団におけるPD-L1陰性 (TC0かつIC0) の患者は約49%であった。EGFR変異またはALK転座陽性患者はITT集団の14%にあたるn=108例 (ABCP群n=48例、BCP群n=66例) であり、WT集団からは除外された。患者の年齢中央値は63歳 (範囲31-90歳)、男性が約60%、腺癌が94.5%を占めた。ベースライン時の肝転移は86-88%の患者で認められなかった (Table 1)。データカットオフはPFS解析が2017年9月15日 (追跡期間中央値15.4ヶ月)、OS中間解析が2018年1月22日 (追跡期間中央値約20ヶ月) であった。
PFS (主要エンドポイント、ABCP vs BCP、ITT-WT集団): WT集団におけるABCP群とBCP群の合計n=692例中、n=517例 (74.7%) が病勢進行または死亡に至った。PFS中央値はABCP群で8.3ヶ月、BCP群で6.8ヶ月であり、ABCP群はBCP群と比較して有意なPFSの延長を示した (HR 0.62; 95% CI 0.52-0.74; p<0.001) (Figure 2A)。6ヶ月PFS率はABCP群で66.9%、BCP群で56.1%であった。12ヶ月PFS率はABCP群で36.5%、BCP群で18.0%と、時間経過とともに両群間の差が拡大する傾向が認められた。これらの結果は、独立施設中央審査によっても確認された。
Teff-high WT集団におけるPFS: Teff-high WT集団n=284例において、ABCP群はBCP群と比較してPFS中央値が有意に延長した (ABCP群11.3ヶ月 vs BCP群6.8ヶ月; HR 0.51; 95% CI 0.38-0.68; p<0.001)。6ヶ月PFS率はABCP群で71.7%、BCP群で57.0%、12ヶ月PFS率はABCP群で46.0%、BCP群で18.0%であった。このサブグループにおいて最大のPFS利益が確認された。
PFSのバイオマーカー・サブグループ解析: ABCP群のPFS利益は、PD-L1発現レベルにかかわらず一貫して観察されたことが重要な発見である (Figure 2B)。
- 高PD-L1発現 (TC3またはIC3) (n=135): PFS HR 0.39 (95% CI 0.25-0.60)、PFS中央値12.6ヶ月 vs 6.8ヶ月。
- PD-L1陽性 (TC1/2/3またはIC1/2/3) (n=354): PFS HR 0.50 (95% CI 0.39-0.64)、PFS中央値11.0ヶ月 vs 6.8ヶ月。
- PD-L1陰性 (TC0かつIC0) (n=338): PFS HR 0.77 (95% CI 0.61-0.99)、PFS中央値7.1ヶ月 vs 6.9ヶ月。
- EGFR/ALK変異例 (n=108): PFS HR 0.59 (95% CI 0.37-0.94)、PFS中央値9.7ヶ月 vs 6.1ヶ月。
- 肝転移あり (n=97): PFS HR 0.42 (95% CI 0.26-0.66)、PFS中央値7.4ヶ月 vs 4.9ヶ月。
- KRAS変異例 (n=85): PFS HR 0.50 (95% CI 0.29-0.84)、PFS中央値8.1ヶ月 vs 5.8ヶ月。
- Teff-low WT集団 (n=374): PFS HR 0.76 (95% CI 0.60-0.96)、PFS中央値7.3ヶ月 vs 7.0ヶ月。
OS (主要エンドポイント、ABCP vs BCP、WT集団、中間解析): WT集団n=696例中、OS中間解析時点でn=376例 (54.0%) が死亡した。OS中央値はABCP群で19.2ヶ月、BCP群で14.7ヶ月であり、ABCP群はBCP群と比較して有意なOSの延長を示した (HR 0.78; 95% CI 0.64-0.96; p=0.02) (Figure 3)。この結果は、事前規定されたOS中間解析のα水準 (0.038) を超えるものであった。12ヶ月OS率はABCP群で67%、BCP群で60%であった。OSの利益もPD-L1発現レベルに非依存的に観察された。
奏効率と奏効期間: WT集団における治験担当医評価による客観的奏効率 (ORR) は、ABCP群で63.5% (95% CI 58.2-68.5)、BCP群で48.0% (95% CI 42.5-53.6) であり、ABCP群で有意に高かった (Table 2)。完全奏効 (CR) 率はABCP群で3.7%、BCP群で1.2%であった。病勢コントロール率 (DCR) はABCP群で89.8%、BCP群で84.8%であった。奏効期間中央値はABCP群で9.0ヶ月、BCP群で5.7ヶ月であり、ABCP群でより長い奏効持続期間が認められた。奏効はほぼ全ての患者で最初の2サイクル以内に得られた。
EGFR/ALK変異例での探索的OS解析: EGFR変異またはALK転座陽性患者n=108例における探索的OS解析では、ABCP群とBCP群の比較でHR 0.61 (95% CI 0.29-1.28) であった。このOS改善傾向は、他のICI試験 (CheckMate 057、OAKなど) では観察されなかった現象であり、ベバシズマブによる血管新生阻害がVEGF媒介免疫抑制を軽減し、ICIとの相乗効果を実現できる可能性を示唆する。ただし、このサブグループのサンプルサイズは小さく (ABCP群n=48例)、95% CIが広いため、確定的結論には至らない。
安全性: Grade 3/4の治療関連有害事象 (AE) の発生率は、ABCP群で55.7%、BCP群で47.7%であり、ABCP群で8.0ポイント高かった (Table 3)。治療関連のGrade 5 (死亡) AEは、ABCP群で2.8% (n=11例)、BCP群で2.3% (n=9例) であった。ABCP群における治療関連死のうち5例は肺出血または喀血によるものであり、そのうち4例は血管浸潤や空洞形成などの高リスク因子を有する患者で発生した。治療中止率はABCP群で16%、BCP群で12%であった。 免疫関連AE (任意のグレード) はABCP群の77.4%で発生し、Grade 3/4の免疫関連AEは17%であった。主な免疫関連AEは発疹、甲状腺機能低下症、肝炎、肺炎、副腎機能低下症などであった。ベバシズマブとアテゾリズマブを同時投与することで、通常のICI単独またはベバシズマブ単独と比較してAEが増加する傾向が認められた。ベバシズマブ関連AE (高血圧、蛋白尿、出血) の頻度はBCP群と同等であり、ABCP群で追加されたアテゾリズマブ関連の免疫性AEが上乗せされた形であった。
考察/結論
先行研究との違い: IMpower150試験は、未治療の転移性非扁平上皮NSCLC患者に対する一次治療として、アテゾリズマブとベバシズマブおよび化学療法 (ABCP) の併用が、ベバシズマブと化学療法 (BCP) の併用と比較して、PFSおよびOSを有意に改善することを示した。この結果は、当時の標準治療であったBCP療法を対照群として設定した点で、Gandhi et al. NEnglJMed 2018によるペムブロリズマブとペメトレキセドおよびプラチナ製剤の併用療法 (KEYNOTE-189) と並行して、一次治療のパラダイムを大きく変えるものであった。KEYNOTE-189試験の成績 (PFS中央値8.8ヶ月 vs 4.9ヶ月、HR 0.52; OS中央値22.0ヶ月 vs 10.7ヶ月、HR 0.56) と比較すると、ABCP群のPFS中央値8.3ヶ月、OS中央値19.2ヶ月は同等かやや劣るものの、ABCP療法はペメトレキセドを含まないパクリタキセルベースのレジメンであるため、扁平上皮型NSCLCの一部にも適用可能であるという点で異なる使用場面を持つ。
新規性: 本試験の最大の新規性は、ICI単剤または化学療法とICIの併用が効果的でなかった特定の患者集団、すなわちEGFR変異またはALK転座陽性例 (TKI治療後) やPD-L1陰性例、肝転移を有する患者においても有効性を示した点にある。特に、EGFR変異またはALK転座陽性例におけるPFS改善傾向 (HR 0.59; 95% CI 0.37-0.94) は、これまでのICI単剤試験 (CheckMate 057、KEYNOTE-010、OAK試験など) では観察されなかった所見であり、本研究で初めてベバシズマブによる血管新生阻害がVEGF媒介免疫抑制を軽減し、アテゾリズマブの効果を増強するという仮説の臨床的検証として高く評価される。また、PD-L1陰性例においてもPFSの改善 (HR 0.77; 95% CI 0.61-0.99) が認められたことは、PD-L1発現に依存しないICIの有効性を示す新規の知見である。
臨床応用上の意義: 本試験の結果に基づき、アテゾリズマブとベバシズマブおよびカルボプラチンとパクリタキセルの併用療法は、2018年12月にFDAによって転移性非扁平上皮NSCLCの一次治療として承認された。この承認は、特にEGFR変異陽性患者 (TKI治療後) やPD-L1陰性患者といった、これまで治療選択肢が限られていた集団に対する新たな治療根拠を提供した点で、臨床的に極めて重要である。肝転移を有する患者においても大きなPFS利益 (HR 0.42; 95% CI 0.26-0.66) が示されたことも、予後不良なこの集団にとって重要な臨床的含意を持つ。しかし、4種類の薬剤を組み合わせるこのレジメンは、複雑性、毒性 (Grade 3/4 AEが55.7%発生し、肺出血による死亡が5例報告された)、および費用対効果の課題を抱えている。そのため、KEYNOTE-189試験のレジメンとの使い分けが現実の臨床現場における課題となっている。現在のガイドラインでは、ABCP療法は、EGFR変異陽性例 (TKI治療後) や、ペメトレキセドが使用しにくい状況 (例: 急速進行例、肝転移が多い例) における選択肢として位置付けられることが多い。
残された課題: EGFR変異陽性患者におけるOSデータは、95% CIが広く (0.29-1.28)、統計的に有意な差には至っていないため、この集団におけるABCP療法の真のOS利益を確定するためには、より大規模な専用試験が今後の検討課題として残されている。また、4剤レジメンの治療費、毒性管理の最適化、およびTeff遺伝子シグネチャー、PD-L1発現、KRAS変異などのバイオマーカーを用いた患者選択のさらなる精緻化も今後の研究方向性である。本試験ではABCP群とBCP群の比較が優先されたため、ABCP群とACP群の直接比較は主要解析の対象外であり、ベバシズマブのICI増強における役割を完全に評価するためには、さらなる比較検討が必要である。Limitationとして、本研究は非盲検試験であるため、評価者バイアスの可能性を完全に排除できない点が挙げられる。
方法
試験デザイン: 本研究は、国際多施設共同非盲検無作為化第III相試験であるIMpower150試験 (ClinicalTrials.gov識別番号: NCT02366143) として実施された。2015年3月から2016年12月にかけて、26カ国240施設で患者登録が行われた。
患者選択基準: 組み入れられた患者は、組織学的に確認されたStage IVまたは再発転移性非扁平上皮NSCLCであり、測定可能病変 (RECIST v1.1基準) を有し、前治療としての化学療法歴がないことが条件とされた。ECOGパフォーマンスステータスは0または1であり、バイオマーカー検査用の腫瘍組織が提供可能である必要があった。ベバシズマブ投与に適格であることも必須条件であり、未治療の中枢神経系転移を有する患者は除外された。EGFR遺伝子変異またはALK転座陽性患者も組み入れ対象とされたが、その場合は少なくとも1種類以上の承認されたTKI治療後に病勢進行または忍容不能な副作用が発生していることが条件であった。PD-L1発現レベルによる組み入れ制限は設けられなかった。
無作為化: 合計1,202名の患者が、1:1:1の比率で以下の3群に無作為に割り付けられた。
- ACP群: アテゾリズマブ + カルボプラチン + パクリタキセル (n=402)
- ABCP群: アテゾリズマブ + ベバシズマブ + カルボプラチン + パクリタキセル (n=400)
- BCP群: ベバシズマブ + カルボプラチン + パクリタキセル (n=400) 無作為化は、性別、ベースライン時の肝転移の有無、およびPD-L1発現レベル (SP142アッセイによる中央検査施設での評価) を層別因子として実施された。
治療プロトコル:
- 誘導療法: 全ての群において、21日を1サイクルとして、カルボプラチン (AUC 6 mg/mL/min) とパクリタキセル (200 mg/m²、アジア人患者は175 mg/m²) を第1日に投与した。ベバシズマブは15 mg/kg、アテゾリズマブは1200 mgを第1日に投与した。誘導療法は4サイクルまたは6サイクル実施され、サイクルの回数は無作為化前に治験担当医の裁量で決定された。
- 維持療法: 誘導療法後、病勢進行または忍容不能な毒性が発現するまで、各群に応じた維持療法が継続された。ABCP群ではアテゾリズマブとベバシズマブ、ACP群ではアテゾリズマブ、BCP群ではベバシズマブが維持療法として投与された。RECIST基準による病勢進行後も、臨床的利益が認められる場合にはアテゾリズマブの継続が許可された。
主要評価項目:
- WT集団 (EGFR/ALK変異を除く野生型集団) における治験担当医評価によるPFS。
- Teff-high WT集団 (腫瘍内のPD-L1、CXCL9、IFN-γ mRNA高発現集団) における治験担当医評価によるPFS。Teff遺伝子シグネチャーは、PD-L1、CXCL9、IFN-γのメッセンジャーRNA (mRNA) 発現として定義され、ベースライン時にマクロダイセクションされた腫瘍組織から単離されたRNAを用いてリアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応 (RT-qPCR) アッセイにより測定された。
- WT集団におけるOS。
統計解析: 統計解析は、全体的なタイプIエラー率を両側0.05に厳格に管理するため、2群間の逐次Holm法を用いて実施された。PFSには両側α値0.012 (各主要解析集団に0.006ずつ配分)、OSには両側α値0.038が割り当てられた。ABCP群とBCP群の比較が優先され、PFSまたはOSのいずれかで有意な結果が得られた場合に、残りのα値がACP群とBCP群の比較に引き継がれる設計であった。PFSおよびOSの最終解析は、WT集団のABCP群とBCP群を合わせた約516件の病勢進行または死亡、および約507件の死亡が発生した時点で行われる予定であった。OSの中間解析は、両群を合わせた約370件の死亡が発生した時点で計画された。ハザード比は層別Cox回帰モデルを用いて推定され、95%信頼区間 (CI) はBrookmeyer-Crowley法により算出された。PFSおよびOSの中央値はカプラン・マイヤー法を用いて推定された。
PD-L1発現評価: PD-L1発現は、SP142 PD-L1 IHCアッセイを用いて中央検査施設で評価された。腫瘍細胞 (TC) と腫瘍浸潤免疫細胞 (IC) の両方における発現スコア (TC0/1/2/3、IC0/1/2/3) に基づく階層的分類が用いられた。
バイオマーカー探索: Teff遺伝子シグネチャー発現、EGFR変異、ALK転座、KRAS変異状態が探索的に評価された。